トップページ

 OECD生徒の学習到達度調査,PISA2022の結果が文部科学省・国立教育政策研究所より,昨年12月に公表されました。81カ国・地域から約69万人が参加。日本からは,全国の高等学校、中等教育学校後期課程、高等専門学校の1年生のうち、国際的な規定に基づき抽出された183校(学科),約6000人が参加しました。今回の中心的分野は,数学的リテラシーで,新型コロナウイルス感染症の影響で2021年に予定されていた調査を2022年に延期して実施されました。(2022年6月から8月に実施)

 ご存じのとおり,PISA調査とは,義務教育修了段階の15歳の生徒が持っている知識や技能を,実生活の様々な場面で直面する課題にどの程度活用できるかを測ることを目的とした調査です。読解力、数学的リテラシー、科学的リテラシーの3分野について,2000年以降3年ごとに調査を実施し,3分野のうち一つの分野を中心分野として重点的に調査を行っています。
 数学的リテラシー(5位),読解力(3位),科学的リテラシー(2位)3分野において世界トップレベルの結果を得ています。前回2018年の調査からOECDの平均点が低下する中で,日本は3分野において前回より上昇しています。この結果については,新型コロナウイルス感染症のため休校した期間が他国に比べて短かったことが影響していると考えられています。また,学校現場において,学習指導要領を踏まえた授業改善が進んだこと,ICT環境の整備が進み,生徒が学校でのICT機器の使用に慣れたことがあげられます。コロナ禍の厳しい環境においても,日本の教育施策が一定程度の成果をもたらすことができたものと考えられます。

 山梨県においても,全国学力・学習状況調査から近年の傾向が上昇方向にあることが確認できます。総合的にみて,全国平均正答率との差が±3ポイント以内であり,大きな差はみられませんでした。小学校の国語,算数は全国平均正答率を下回ったものの,国語においては前回調査より縮まってきています。中学校の国語において,全国平均正答率を上回る結果を維持しています。
 こうした結果は,学力向上総合対策事業の推進,やまなしスタンダードの推進,地域の実態に応じた取り組みの推進等々のうえに積み上げられたものということができます。そこには学校現場の地道な日々の取り組みがあったからこそということは忘れられないところです。
 また,働き方改革の一端として県が取り組んでいる事務処理に関わる改革「文書削減」「効率化」によって,教職員の本来の職務が少しずつではありますが,明確になりつつあります。今後の山梨県教育行政に期待するところであります。

 さて,山梨県教育研究所は,山梨県公立小中学校長会・山梨県公立小中学校教頭会・山梨県教職員組合・山梨県退職教職員協議会の四者を構成団体として,1995(平成7)年7月11日に開設され,今年29年目を迎えることになります。「輝かしい未来を力強く建設していく子どもたちの育成を願い,構成団体の会員がそれぞれの立場から学習・研究・助言し合い,本県教育および教育諸制度の充実と発展を目指すことを目的」とする民間の教育研究機関として,常に学校現場第一の視点に立ち,県内の小中学校及び教職員の教育活動を支援するよう努めています。コロナ禍で様々な制約を受け,思うように事業が推進できないときも,設立の趣旨に基づき,夏・冬休みの友の編集事務など,直接子どもに関わる事業については,構成団体の理解と協力を得ながら困難を乗り越えながら進めてきました。また,ホームページ等を活用し,様々な情報発信を行おうと努めています。今後も“集まること”や“対面し話し合うこと”の大切さを尊重しつつも,その必要性を検討しながら,Web会議システムを導入するなど手段を模索しながら,工夫や改善を加えていきます。学校現場や先生方に寄り添いながら事業の充実に努め,学校や子どもたちのゆたかな教育の推進に役立てるよう努力していきたいと考えています。                            

                                                                              山梨県教育研究所
                                                                              所長  小笠原哲